◉再開「地下大学」への招待
「徹底討議 地下の中東」
───3・4・5月連続講義@素人の乱12号店
資料代500円+投げ銭
1)3月25日 20時から
「レヴォリューション・ナウ!───千のタハリールへ」
イルコモンズ(文化人類学、映像アクティヴィスト)+木下ちがや(政治学)
2)4月28日 19時から
「ついに帰ってきた〈黒いアテネ〉───その思想史的地殻変動」
佐々木中(理論宗教学、小説家)+平井玄(半径1キロの思想家)
3)5月28日 15時から
「タハリール広場からアズハル大学まで───エジプトの人びと」
山本薫(アラブ文学)+本山謙二(南島史、音楽論)
▶お立ち会いの皆さま、お久しぶりです。
「非正規労働者のための、非正規教員による、非正規大学──地下大学」を再開します。
西山雄二さんを呼んで映像『哲学への権利』を観る会を催したのが2010年の1月、その前ブランクの多い半年も含めて既に2年近く経っています。失職、移動、病気、雇い止め、とプレカリアな人間たちに相応しい非恒常性ですが、再びこうした「アンダーグラウンドな学び」の場が必要な時が来ました。
フリーター運動やオルター・グローバル運動が停滞し、喧しいストリート右翼が現れたこの2年間が「民主党時代」だったのは偶然ではないでしょう。菅直人は「小泉化」したというより、アメリカ戦争追従+新自由主義の遅すぎた「トニー・ブレア化」した。温いNPO型新福祉+ソフト・ネオリベによるギデンス的「第三の道」が有効に見えた時は完全に過ぎたということです。オバマも同じこと。こうして全世界でnext movementが模索されている中に私たちはいます。
チュニジアやエジプトに始まる「アラブ大騒乱」もそのひとつの反応でしょう。もちろんアメリカの操作はある。インテリジェンス機関は「反グロ」の10年間から多くを学んでいる。「富裕なカイロ・アメリカン大学生による欧米志向の運動で、ナセル以来のアラブ主義に対する世代間闘争」という報告もある。しかし、それだけでタハリール広場に100万人も人びとが集まるというのか?
たしかにこういう動きを、表面的なアラブ主義やイスラム主義で説明するのはもはや月並みなクリシェです。だが事実としてチュニジアやエジプトこそ、この地域における新自由主義のモデル国家とされたのがこの10年でした。石油資本とIT資本の諍いを超えて、その底流にオルター・グローバル運動への応答が潜んでいるのは間違いありません。
それとともにマーティン・バナールのいう「黒いアテネ」が逆流してきたのではないか。西欧精神の起源とされるギリシアの社会を造り出したのは、北アフリカやアラブに囲まれたレバント(東地中海圏)だったと捉える思想地理の書き換えの中から、こうした変動を見つめる必要がある。
アラブ、アフリカ、ヨーロッパ、アジアという分割を超える思想史的な含意とオルター・グローバル運動、その両者の絡み合いの中から考えようという3回連続討議です。吉野家の牛鍋丼は280円、地下大学は500円。ワンコインで、大きく深く抉り出す思考と運動が緊急に要請されているのは間違いないでしょう。
さて21日になりました。
皆さん、ご意見ありがとうございました。その上で
懸案の3月25日「地下の中東」、再開1回目はやはり予定通りやりましょう。
福島原発事故の今後の帰趨がどのようなものであれ、
今回の事態で「活火山列島上の原発過密国家」の破滅性が剥き出しになったことは事実です。
おそらく今進行しているのはユダヤーキリスト教的な一挙全面的な「終末」ではない。
「緩慢なアポカリプス」、私の言葉を使えば「スーダラな破局」ともいうべき事態でしょう。
いわば、この都市で働かされ続ける私たちの現実は、
日給1万円内外の「使い棄て原発日雇い労働者」に確実に近づいていく、ということです。
東京在住者も当事者であり、「潜在的被爆プレカリアート」と言ったのはそういう意味です。
つまり、この「スーダラな破局」には公然たる「敵」がいる。
映画「山谷 やられたらやりかえせ」でも、原発労働に手配される日雇いたちの話が語られていました。
矢部史郎『原子力都市』も遂に読まれる時を得た、ということです。
こういう私たちの「場所」と「タハリール広場」を繋ぐものがある。
この「線」を求めて、25日には集まりましょう。